始めに

最近のご相談者の中には、ご自身で相続税の対策を勉強し、ご自身で対策方法を考えてこられる方もいらっしゃいます。

しかし、一般書で推奨されている方法の中には、税務リスクが高いものも少なくありません。以下では、そのようなグレーゾーンの方法について、概説します。

タワーマンション節税

タワーマンションの売買による経済浮揚効果に鑑みますと、当面、今の政府の施策では劇的な規制はなされない可能性が高いとは思います。

しかし、これまで、昭和後期、バブル期に流行った節税スキームは、タイムラグを経て殆ど規制されています。

信託

信託法の改正により、いわゆる民事信託の活用に途が開かれました。

しかし、民事信託に対する税法の規定は曖昧なままであるため、租税回避行為と認定されて否認されるリスクが残っています。

現在、税法上のリスクが大きくないと考えられる信託は3つだけです。

一般社団法人

一説によると、平成26年だけで約2,000の一般社団法人が設立されたそうです。これらは持分のない法人として相続対策に活用する目的で設立されたものが大部分と推察されます。

普通法人であれば、社員(株主)の地位を承継するためには株式の相続・贈与或は譲渡により、それぞれ相続税や贈与税、所得税が課税されてしまいます。そのため、一般社団を資産管理会社として利用されるケースがここ数年増えてきました。

また、一般社団の利用方法として、子が居住している自宅を一般社団に譲渡し、親が亡くなった際に親の住んでいた自宅を相続し、小規模宅地等の特例(家なき子特例)を利用するケースも増えているようです。

しかし、平成30年年度の税制改正では、同族で役員の過半を占める一般社団法人で同族役員が死亡した場合、法人が持つ財産を対象に相続税をかけられるようにした。

これにより、一般社団法人を活用する相続税の節税スキームは実質的に封じられたと考えられます。