解説
相続税は、毎年のように改正がなされていますが、特に平成25年度の税制改正では、いわゆる基礎控除が40%縮減されたため、その後の相続税ブームの一因になっていると言われます。
しかし、そもそも相続税は高いのでしょうか?
以下に、「配偶者が逝去した親の財産を子供2人が相続したケース」の相続税を表にしました。
課税価格a | 改正後の相続税額c | 割合c/a | 残金a-c | 1人当たり の残金 (a-c)/2 |
5,000万円 | 80万円 | 1.6% | 4,920万円 | 2,960万円 |
1億円 | 770万円 | 7.7% | 9,230万円 | 4,615万円 |
2億円 | 3,340万円 | 16.7% | 1億6,660万円 | 8,330万円 |
3億円 | 6,920万円 | 23.0% | 2億3,080万円 | 1億1,540万円 |
5億円 | 15,210万円 | 30.4% | 3億8,480万円 | 1億9,790万円 |
10億円 | 39,500万円 | 39.5% | 6億500万円 | 3億250万円 |
これを見て気づくのは、仮に1億円相当の財産を現金で相続したとしても、2人で1億円弱、1人当たり5千万円弱の現金を、特段の相続税対策無しに得ることができる点です。
以上から分かることは、「土地・建物と退職金と合わせて相続財産が1億円前後の方は、相続税対策など、ことさら心配無用である」ことです。
では、相続財産が2億円相当の場合はどうでしょうか?この場合でも、「小規模宅地等の特例」だけキッチリ適用することで、1名の相続税は8割縮減できますから、2人のトータルで見れば、概算で1割前後の納税で済みます。
以上から分かることは、やはり、「通常のケースであれば、タワーマンション節税などの投資型の節税対策をとることはリスクが大きいだけである」ことです。
ハウスメーカーや信託銀行などのセミナーや提案に踊らされないようにすることが肝要です。
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